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「稲辺の建替」遂に・・・

解体日を迎えました。

ビデオカメラをまわすご家族に見守られながら、
あれよあれよという間に瓦と躯体が解体されていきます。

 

長年この家屋にお世話になったお施主様の心境を考えると、やり場のない感情がわき出てきますが・・・
数日後には、ご覧の通り。

社長「本当は、若いもん(大工職人)が解体に携わるといい。」

現代は、プレカット工場で製材された材料を組み立てる技術が主流のため、
カンナやノミ、墨ツボを使い日本の木造を支えてきた大工職人が減少。

 

プレカット普及前は80万人いた大工職人が、いまや20万人以下となり、
プレカットを核とした産業として木造建築業界は発展を遂げています。

こういったプレカットが普及したのは、ここ20〜30年ほど。
社長曰く、この家のような、プレカットが普及する前の古民家の木組みは、大工職人の一番の勉強になるそう。
貴重な機会をやり過ごすこととなった社長の背中は、少し淋しそうでした。

様々な事情や感情が交差する中スタートした「稲辺の建替」。
今回は、旧家の面影なく一新されます。 
ご夫婦の人生の新たな幕開けとなりますよう最善を尽くす次第です。

「建築日誌」市橋の平屋上棟

数年前、新築のご依頼をお受けした市橋の家。
今回、そのお施主様のご両親の新築依頼をお受けし、先週上棟いたしました。

「稲辺の建替」もそうですが、多世代に渡りご依頼をいただくことは、
地場工務店にとって一番の基である信頼性をご評価いただいているようで、大変光栄に存じます。

信頼というものは、一朝一夕には得られず、
これまで一棟一棟丹念に向き合ってきた証として受け止め、心の糧にいたします。

この家は「稲辺の建替」同様、これからシニア世代を迎えるご夫婦のための住宅で、普段の建築と趣旨が異なります。
性能に重点を置いているため、工業製品の割合の高い住宅となる予定。

これは、チャレンジ精神を重んじる我々にとって有意義なコンセプトであり、
視野を広げる機会を授けてくださりありがとうございます。

それでは、M様、上棟おめでとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

「則竹の家」近況。初の試みが多数

とある日の午後。
外構屋さんと打ち合わせ。

 

と雑談。
お話上手でとても気さくなガーデン・ひろさんです。

現場では、是非職人さんと交流してみてくださいね。
専門的なあれこれを教えてくれますよ。

さて、気になるのは背後の建物。
工事は順調に進み、則武の外装が明らかになってきました。

 

低層部は、豊富なガルバ仕様を誇る弊社であるのに、意外と初の試みである横葺き仕上げ。
少し手の込んだ仕上げ方です。

また、塗り壁のニュアンスカラーも初。

このカラーは、お施主様のご要望の一つで、何色と断定できないようなくすみ加減が特徴となっております。
追ってご紹介したいと思います。

続きまして、内部の様子も少しどうぞ。
左官屋さんのお食事中に失礼します。笑

 

現在、タイル張りの真っ最中で、無垢の木、塗り壁、石材・・・と素材感に包まれた吹抜け空間となる予定です。
伝統性とトレンド性の調整が実に楽しみ。

こういった吹抜け空間は、広域でお伝えしたいので、足場がとれるまでお待ちくださいね。
特に段窓・・・早く足場がとれないかとわたくしもうずうずしております・・・。

「室原の薪ストーブのある平屋」課題に特化した造作デザイン

「室原の薪ストーブのある平屋」最後の特徴は、やはり造作に触れさせてください。

この家では、雑多になりがちなキッチン周辺をスッキリとみせる大容量造作収納が特徴の一つで、
玄関に間仕切りがないこの家では、室内の雑多をいかに隠すかが計画当初からの課題でした。

そのため、この家では、造作バックカウンターに4枚引違い戸を設け、
隠すことに特化したキッチンクローゼット仕様としましたので、今後の参考にご覧ください。

 

炊事中は扉を開けて。
炊事が終われば扉を閉めて。

 

手元を隠し、モノを隠し、
雑多になりがちなキッチン周辺のインテリア性を高めています。

また、引違い戸は2方向からのアクセスが可能なので、これだけの大容量収納となっております。

更に、奥にはパントリーという嬉しい仕掛け。

間宮建築の造作デザインの源は、ご不満の解決策を形にして表すこと。
毎度申し上げている気がしますが、課題を解決しようとすると結局シンプルに尽きます。

造作家具は、日常生活の道具であるため、各ご家庭のご要望を理解し、どんな機能が必要なのか。
各々の課題に特化したデザイン設計を心がけています。

以上、「室原の薪ストーブのある平屋」の特徴でした。

いかにものんびりした暮らしが営めそうな山荘ライクの平屋ですが、この平屋は養生が目的の別荘ではありません。
家事育児に仕事・・・我々と同じ慌ただしい日常がここで繰り広げられます。
走り続ける人生の中、日常の風景の恩恵を受け、自然体でいられる土間で心身を緩ませる時間をもつ。
健康で、強くたくましい精神を養えそうだと思うのはわたくしだけでしょうか。

そもそもお施主様のご両親は、すでにそのようなお暮らし。

 

お施主様ご家族もこの平屋や自然と共に走って緩めて・・・
自分たちの暮らしを切り開いていただければ幸いです。

「室原の薪ストーブのある平屋」日常に息づく伝統左官

「室原の薪ストーブのある平屋」4つ目の特徴は、
土間の一部としても採用した「洗い出し仕上げ」に着目したいと思います。

「洗い出し仕上げ」とは、町家や昭和時代の建築によく見られる伝統左官で、
モルタルに骨材を敷き詰め、硬化する前に水洗いし、骨材の頭を表面にあらわす工法のことです。

弊社では、伝統性、意匠性、耐久性、お手入れのしやすさなどの観点から、
全棟、玄関ポーチにこの工法をご提案しております。

下の画像は、骨材である豆砂利の敷き詰めシーン。
混入する骨材の種類は多種多様ですが、弊社では、豆のように粒が丸く小さい砂利を使用しています。
約10年、この砂利一筋。


施工の際は、下地モルタルの調整、洗うタイミングに気を遣うそう。
因みに、乾燥収縮によるひび割れに強く、優れた耐久・対候性を持ち、お掃除も楽な仕様だと思います。

また、この家では、土間の一部もポーチと同じ洗い出し仕上げとし、外部との距離を非常に近くしています。

 

牧歌的で大らかな環境のため、少々大胆なご提案が可能となりました。

近代化、西洋化で忘れてしまった伝統左官の良い部分を日常に。


簡素で落ち着きある美しさ、より自然体で日本らしさ溢れる伝統左官。
主張することは全くございませんが、その役割はきちんと果たす健気な存在です。

「室原の薪ストーブのある平屋」語らいの土間

「室原の薪ストーブのある平屋」3つ目の特徴は、
この平屋の要点となる「土間リビング」について着目してみたいと思います。

「土間リビング」とは、古い日本家屋に見られる土間に、特有の機能をもたせたリビングとでもいいましょうか。
本来、土足で炊事や農作業などを行ったり、日本特有の交流スペースでもあった土間ですが、
機能を現代の暮らしに変貌させた、室内のお履き物でお過ごしいただくパブリックな領域です。

玄関を入るとすぐ土間リビングが現れます。

外部と土間を曖昧に繋げたかったため、玄関に間仕切りは不要との判断に至りました。
住宅地や訪問客が多いご家庭には推奨しかねる間取りですが、この地は、視線を気にする必要がないためのびのびと。

この家では、土間は語らいの場。
薪ストーブを囲みながら、一家団欒のひと時をお過ごしいただくことができます。

 

土間の奥には、
畳リビング?サブリビング?育児コーナー?ゲストルーム・・・?
変幻自在の簡易和室を設け、空間の多様性を高めています。

 

性格の異なる複数の場所を、床レベルで緩やかに仕切った好例となりました。

曖昧でのびのびとした空間の使い方が、この地の暮らしには向いている。
そう感じませんか・・・?

「室原の薪ストーブのある平屋」風景との調和

ここに暮らすと毎日が森林浴。
射し込む光が、負の感情を流してくれるようなそんな感覚に陥ります。

我々が暮らす加茂野でも、こんなスピリチュアルな風景に出会えます。
田園風景に沈む太陽が、負の感情を流してくれます。

可児の山間と加茂野の里。
共通するのは「日常の風景が心の調子を整える」こと。
我々が住む岐阜の地は、日常の風景が心の栄養となるような、素晴らしい自然に恵まれております。

非日常を纏うより、日常の風景と共に佇む素直な建築を。

 

身構えず、着飾らず。
間宮建築のこの方向性が揺れ動くことはありません。

専務曰く、
「素直に自然と調和するよう、これからも日常の風景を見つめていきたい。」
とのことです。

「室原の薪ストーブのある平屋」自然と親しむ山荘ライクの平屋

本日より、2021.4月竣工「室原の薪ストーブのある平屋」の特徴をお伝えしたいと思います。

これまで、この地の自然豊かな周辺環境を中心にお伝えしてきましたが、
この地での平屋は、その自然と親しむよう有機質に満たされた建築としました。

これまでお伝えしてきたように、この地には、
自然の恵みをお借りして、知恵や工夫を凝らした山あいならではの日常があります。


その日常をこよなく愛するお施主様のお気持ちを汲み取ると、
おのずと自然とともに在る建築に仕上がりました。

 

自然と親しむには、テラスが必須。
日の沈む前、山の緑を眺めながらコーヒーを飲み、談笑することが幸せの時間となることでしょう。

このテラスに身をおくと、このご時世、思いきり深呼吸ができ、近影で四季を愉しめるこの環境は贅沢だなと。
雄大な森にひっそり佇む山荘に通じるものを感じます。

専務は、この家のおかげで、見栄を張った厚化粧の建築ではなく、
肩の力を抜いた自然とともに在る建築を考えることができたそう。

またしても、間宮建築の裾野を広げてくださったお施主様に感謝です。

「川合の家」実践で鍛える

とある日の作業風景。
毎度お馴染み高橋建築さんとバルコニー手摺の取付を行っている一コマです。

現場合わせは、マニュアルもなければ図面も無し。
必要なのは、知識と技術と経験と・・・阿吽の呼吸・・・?

与えられた作業を受け身で行うのではなく、自ら考えて挑む。
これは、間宮建築の現場の共通認識であり、開業当初からのぶれない姿勢です。

間宮建築の仕様は、自分で考え、答えを出す習慣がないと施工できません。
現場のかけ合いを見ていると「そりゃ腕が立つようになるわ。」と思っていただけるかと。

自己鍛錬でもある現場合わせの作業。
「ああでもない、こうでもない。」
と、互いに刺激を与え合い、果敢に納まり問題に挑みます。

「稲辺の建替」築90年以上の日本家屋

新しい現場です。

築90年以上の日本家屋にお住まいのご夫妻に、建て替えのご依頼をいただきました。
実は、お施主様は気心の知れたお隣さんで、なんと3世代に渡りご依頼をいただいております。
このような信頼をお受けし大変恐縮ですが、ご期待に添えるよう尽力いたします。

さて、こちらは、地鎮祭の様子。
今月は、3件の地鎮祭を執り行いました。
追って現場のご紹介をしたいと思います。

こちらは、古民家ではよく見られる井戸。
井戸を埋め戻すときは、毎回、地鎮祭の時に井戸祓いを行います。

 

地鎮祭後は、配置の確認。
いつもの流れです。

築90年以上ともなると、井戸だけではなく色々な神様が宿っていそうです。
また、M様は、90年の重みも感じていらっしゃるわけで・・・
今回の建て替えに対し、愛着や様々なメモリーによる情や未練が存在するでしょうから、
現在、複雑な心境であることをお察しいたします。

そんな葛藤を踏まえつつも建て替え計画は着々と進み、
まずは、建築予定地となる離れの解体を10月に予定しております。

 

この丸太の梁に、年季の入った木製建具に、レトロなタイル・・・。
滋味豊かで、実に渋い。
専務は、こういった渋みが溢れる古民家に大変刺激を受けるそう。

また後日、建て替えに至った背景、建て替え後の暮らしなどお話できればと思います。