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Writer/Maya 事務・CADオペレーター
「建築」や「モノづくり」の最前線に立ち、設計者の価値観に基づいた機能的及び情緒的な価値をお伝えできればと存じます。

「加治田のリノベーション」時間と経験を刻んだモノたち

加治田のリノベーション。
工事は一通り完了し、お施主様ご家族が新生活を始められました。

これからグランドジェネレーションを迎えるご夫妻のための住環境づくりとして、
断熱性能を高め空間構成をフレキシブルに改装し価値を高めています。

このリノベーションで、現代建築の新しい表現として重宝したのが時間と経験を刻んだモノたち。
それらが愛着のある日常風景をかたちづくると考え、旧の建具をそのままの状態で設えています。

 

 

これからの生活と積み重ねられた時間が交差する空間が我々の前に現れました。
無論、新たな建具製作にも力を入れていて、それらはそういった関り合いを意識して設計しています。

新たな建具は、各空間の繋がりを自由に調整するための試みでもあり、
時間ごと、季節ごとに空間を閉じたり開いたりしながら居場所を作り出す狙いがあります。

壁で仕切っただけでは得られない可変性の高い新たな建具たち。
これらの建具もお施主様ご夫妻にとって愛着のある存在となりますように・・・。

「加治田のリノベーション」建物の高断熱化

リノベーションにおいて建物の高断熱化は、エネルギー消費を抑えるための非常に重要なテーマで、
今回は、断熱材の補填のほか、既存アルミサッシを高性能ハイブリッド窓に一新し、断熱性・防露性を高めています。

 

南側は、構造上既存アルミサッシの窓を残した上、高性能ハイブリッド窓を加えて環境性能を図ります。

環境と意匠性の両立を実現を目指しています。

「加治田のリノベーション」こんな部位もお手製

とある日の自社工場にて。
材料の切断、表面加工を経て木材保護塗料を塗っているところです。


この材料が使われる部位はここ。

雰囲気を壊してしわないようにお手製で。

「加治田のリノベーション」隠されていた部材を現す

加治田の現場より。

これまで覆い隠されていた既存の躯体を眺める代表。

 

人知れず隠されていた部材を現す手法は、空間が広がるだけでなく効果的なアクセントにもなります。
なにより時間の蓄積というかけがえのない価値が詰まっています。

「加治田のリノベーション」過去の痕跡を未来へ紡ぐ

昨日に続きまして、リノベーションの現場より。

この日は、埋木で既存柱の修繕を行いました。
白い矩形部分が埋木です。

取り払った鴨居の穴に木を埋めて着色し、この空間に残す既設柱の美観を保持します。


(光の影響で実際より色が明るく見えています。)

広域での見え方はこんな感じ。
右の画像は、左奥の柱に埋木がありますがお分かりですか?

 

何十年も住まい手のために暮らしを支えてきた部位の穴。
生活に溶け込みながら、過去の痕跡として未来へ紡いでいきます。

「加治田のリノベーション」新設の木製建具で縫合

リノベーションの現場より。

築40年のお住まいにお邪魔すると、
和室が4部屋連なり南北に広縁のある伝統的な建築様式となっていました。

和室が住まいにもたらしてくれる魅力も多々ありますが、
今回は、1室のみそのまま残して床を下地とともに無垢フローリングに張り替え、
新旧の空間を新設の木製建具で縫合することを計画しています。

その要となるのが、こちらの新設の3枚引込戸。

不要となった縁側の一部を取り払うことで8帖分の空間を確保。
LDKとの繋がりや人の往来が最も頻繁に行われることを予測して建具の気配を消せるよう配慮しています。

既設の差鴨居と新設の鴨居。

既設の鴨居は構造の一部なので着色をしてこのまま残します。

新設の建具を引き込むことで、
新しいコミュニケーションの在り方を生み出そうと試みています。